人事評価・制度

育児・介護と仕事の両立支援制度|法改正と社内整備

公開日: 2026.09.16
育児・介護と仕事の両立支援制度|法改正と社内整備

育児や介護と仕事の両立は、現代企業が直面する喫緊の課題です。法改正への単なる形式的な対応に留まらず、従業員が安心して働ける環境を整備することは、持続可能な組織運営と競争力強化に不可欠といえるでしょう。本記事では、最新の法改正ポイントから具体的な社内整備、先進企業の取り組み、そして今すぐ始めるべきアクションまでを解説し、貴社の課題解決を支援します。

2026年の最新動向・法改正のポイント

育児・介護と仕事の両立支援に関する法制度は、社会情勢の変化や多様な働き方のニーズに対応するため、近年活発な改正が重ねられています。特に「2026年」というキーワードは、今後の法改正の方向性や、それを見据えた企業側の準備の重要性を示唆しています。

育児休業制度の変遷と2022年・2023年改正の再確認

育児休業制度は、1992年の育児休業法の施行以来、その対象範囲や取得要件が段階的に拡充されてきました。特に直近では、2022年10月と2023年4月に大きな改正が施行されています。これらは2026年以降のさらなる制度拡充の布石と捉えることができます。

  • 2022年10月施行:産後パパ育休(出生時育児休業)の創設
    子の出生後8週間以内に4週間まで取得可能な休業で、分割取得も可能となりました。これにより、男性の育児休業取得を促進し、夫婦で育児を分担する文化の醸成が期待されています。
  • 2022年10月施行:育児休業の分割取得
    原則1回までだった育児休業の分割取得が、2回まで可能となり、より柔軟な取得が可能になりました。これにより、夫婦が交代で育児休業を取得しやすくなるなど、多様な働き方に対応できるようになりました。
  • 2023年4月施行:育児休業取得状況の公表義務
    従業員数1,001人以上の企業に対し、男性の育児休業等の取得状況を年1回公表することが義務付けられました。これは、企業における男性育休取得の実態を可視化し、さらなる取得促進を促す強力なインセンティブとなっています。

2025年以降を見据えた法改正の議論と2026年の展望

現時点(2024年)で、2026年に施行が確定している具体的な法改正は限定的ですが、政府の「こども未来戦略」や「全世代型社会保障構築会議」における議論の中で、さらなる両立支援制度の拡充が検討されています。これらは2025年以降、段階的に具体化し、2026年には企業に新たな対応が求められる可能性があります。

  • 子の看護休暇・介護休暇の柔軟化
    現行制度では半日単位での取得が可能ですが、これを時間単位での取得を可能にする方向で議論が進んでいます。これにより、短時間の通院や送迎など、より細やかなニーズに対応できるようになります。
  • 育児休業給付の拡充・柔軟化
    育児休業中の所得保障の強化や、育児休業と就業を組み合わせた場合の給付のあり方などが検討されています。特に、育児休業中のリスキリング(学び直し)支援と給付の連動も議論されており、育児休業期間をキャリア形成の機会とする動きを後押しする可能性があります。
  • 小学校就学前までの子の養育に関する両立支援
    現行の育児休業制度は原則1歳までですが、小学校就学前までを対象とした、より柔軟な働き方支援(短時間勤務、所定外労働の制限など)の拡充が検討されています。これは、保育園・学童の「小1の壁」問題への対応として注目されています。
  • 男性育児休業取得のさらなる促進
    取得状況公表義務の対象拡大や、企業への取得促進策の強化、育休手当の引き上げなど、男性が育児休業を取得しやすい環境整備に向けた議論が継続的に行われています。
  • 介護分野における支援の強化
    高齢化の進展に伴い、介護離職防止は喫緊の課題です。介護休業・休暇制度のさらなる柔軟化に加え、企業が従業員の介護状況を把握し、適切な情報提供や相談支援を行う義務の強化なども検討課題となっています。

これらの動向は、単なる法規制の強化に留まらず、企業が多様な人材を確保し、持続的な成長を遂げるための重要な経営戦略として、両立支援を位置づける必要性を示しています。人事担当者・経営者は、これらの議論の動向を注視し、自社の制度や運用を常に最新の状態に保つことが求められます。

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企業が対応すべき理由・対応しない場合のリスク

育児・介護と仕事の両立支援制度への対応は、単なる法令遵守義務にとどまらず、企業の持続的な成長と競争力強化に直結する戦略的な投資であると捉えるべきです。対応を怠ることは、企業に多大なリスクをもたらします。

両立支援制度を整備するメリット

積極的な両立支援は、企業に多角的なメリットをもたらします。

  • 優秀な人材の確保と定着
    育児や介護と仕事を両立できる環境は、特に女性従業員や介護を担う従業員にとって、企業選択の重要な要因となります。制度が充実している企業は、採用市場において優位に立ち、優秀な人材の獲得に繋がります。また、ライフステージの変化による離職を防ぎ、貴重な経験を持つ従業員の定着を促進します。厚生労働省の調査(令和4年度雇用均等基本調査)でも、育児休業制度がある企業の女性の育児休業取得率は8割を超え、制度が定着に寄与していることが伺えます。
  • 従業員のエンゲージメントと生産性の向上
    企業が従業員のライフイベントに寄り添い、支援する姿勢を示すことで、従業員は企業への信頼と愛着(エンゲージメント)を高めます。これにより、モチベーション向上、業務への集中力アップ、結果としての生産性向上に繋がります。安心して働ける環境は、従業員の心身の健康(ウェルビーイング)にも良い影響を与えます。
  • 企業イメージの向上とブランド価値の強化
    「働きやすい企業」「従業員を大切にする企業」というイメージは、企業ブランドの価値を高めます。これは、顧客や取引先からの信頼獲得だけでなく、投資家からの評価にも影響を与え、企業の持続可能性をアピールする強力な要素となります。
  • ダイバーシティ&インクルージョンの推進
    多様な背景を持つ従業員が、それぞれの能力を最大限に発揮できる環境を整えることは、組織の多様性と包容力を高めます。これにより、新たな視点やイノベーションが生まれやすくなり、変化の激しいビジネス環境への適応力が高まります。
  • 法的リスクの回避
    法改正への適切な対応は、行政指導や罰則、企業名の公表といった法的リスクを回避する上で最低限の要件です。

対応しない場合に企業が負うリスク

両立支援制度への対応が不十分な場合、企業は以下のような重大なリスクに直面する可能性があります。

  • 法的リスクと企業イメージの失墜
    育児・介護休業法をはじめとする関連法令に違反した場合、行政からの指導や勧告、最悪の場合には罰則が科される可能性があります。また、企業名が公表されることで、社会的な信用を失い、顧客離れや株価の下落といった事態を招くこともあります。
  • 優秀な人材の流出と採用難
    制度が不十分な企業では、育児や介護を理由とした優秀な従業員の離職が避けられません。特に、経験豊富な中堅層や専門性の高い人材の流出は、企業の競争力を著しく低下させます。また、採用市場においても「働きにくい企業」というイメージが定着し、新たな人材の確保が困難になります。
  • 職場のハラスメント発生リスクの増大
    制度に対する理解不足や誤った認識が蔓延すると、育児休業や介護休業の取得を巡るハラスメント(いわゆる「パタハラ」「ケアハラ」など)が発生しやすくなります。これにより、従業員のモチベーション低下や職場環境の悪化、さらには訴訟リスクに発展する可能性もあります。
  • 生産性の低下と業務の停滞
    従業員が育児や介護の不安を抱えながら業務に従事することは、集中力の低下やストレス増大を招き、結果として生産性の低下に繋がります。また、急な休業や離職によって業務が滞り、他の従業員への負担が増大することで、連鎖的な不満や離職を招く悪循環に陥ることもあります。
  • 組織文化の停滞とイノベーションの阻害
    多様な働き方を認めない硬直的な組織文化は、新しいアイデアや視点が生まれにくい環境を生み出します。これは、企業の成長を阻害し、市場の変化への対応力を低下させる要因となります。

これらのリスクを回避し、企業価値を最大化するためには、両立支援制度への戦略的な取り組みが不可欠です。

実務対応の具体的ステップ

育児・介護と仕事の両立支援制度を実効性のあるものにするためには、体系的なアプローチと具体的なステップを踏むことが重要です。ここでは、人事担当者・経営者が取り組むべき実務対応のポイントを解説します。

1. 現行制度の把握と課題分析

まず、自社が現在どのような両立支援制度を有しているかを正確に把握することから始めます。就業規則、育児・介護休業規程、その他関連する社内規程を網羅的に確認し、法改正への対応状況や、現行制度と実態との乖離がないかを検証します。

  • 法改正対応状況の確認: 最新の育児・介護休業法、男女雇用機会均等法、労働基準法などの関連法規に照らし合わせ、就業規則や規程が適切に改定されているかを確認します。特に、産後パパ育休(出生時育児休業)や育児休業の分割取得、育児休業取得状況の公表義務などの最新の改正点に対応できているかを確認します。
  • 従業員ニーズの把握: 既存制度の利用状況(取得実績、申請数、復職率など)をデータで分析するほか、従業員アンケートやヒアリングを通じて、制度への要望や課題を直接的に把握します。例えば、「制度はあっても利用しにくい雰囲気がある」「情報が不足している」「取得後のキャリアパスが不安」といった声がないかを探ります。
  • 管理職へのヒアリング: 管理職は従業員と制度の橋渡し役となるため、彼らの制度理解度や、制度運用上の課題、部下からの相談内容などを把握することが不可欠です。

2. 就業規則・社内規定の改定と整備

現状把握と課題分析に基づき、法改正への対応と従業員のニーズに応えるための就業規則・社内規程の改定を行います。これは、両立支援の基盤を確立する上で最も重要なステップの一つです。

  • 法改正に合わせた文言の修正: 最新の法令に準拠するよう、育児休業、介護休業、子の看護休暇、介護休暇などの定義、取得要件、期間、申請手続きなどを明確に記載します。特に、時間単位での休暇取得の導入や、育児休業中の学び直しに関する規定など、今後の議論で具体化する可能性のある項目にも対応できるよう、柔軟な設計を検討します。
    関連情報として、働き方改革の今!労働法改正と人事担当者の対応もご参照ください。
  • 対象者の拡大と要件の緩和: 法定を上回る制度として、育児休業の対象期間の延長(例:小学校入学まで)、子の看護休暇・介護休暇の有給化や取得可能日数の拡充、不妊治療と仕事の両立支援制度の新設などを検討します。
  • 給付金制度の明確化: 育児休業給付金や介護休業給付金について、従業員が申請手続きをスムーズに行えるよう、社内規程にその旨を明記し、情報提供を行います。企業独自の給付金や手当の導入も検討に値します。

3. 制度周知と従業員への教育

どんなに素晴らしい制度を整備しても、それが従業員に知られ、理解されなければ意味がありません。積極的な周知と教育が不可欠です。

  • 社内広報の徹底: 社内報、イントラネット、ポスター、説明会などを通じて、制度の内容、利用方法、申請フローを分かりやすく情報発信します。特に、男性従業員向けの育児休業取得に関する情報提供を強化することが重要です。
  • 管理職向け研修の実施: 管理職は、部下の育児・介護休業取得を承認し、業務調整を行う立場であり、ハラスメント防止の要でもあります。制度の正しい理解、部下からの相談への適切な対応方法、ハラスメントの具体的な事例とその防止策、休業者の業務引き継ぎ・復職支援などに関する研修を定期的に実施します。
    管理職のマネジメント力向上については、管理職研修の効果的な設計方法【マネジメント力を高めるプログラム】も参考になります。
  • 従業員向け説明会の開催: 制度の概要だけでなく、取得によるキャリアへの影響、給付金制度の詳細、復職後のサポート体制など、従業員が抱える不安を解消するための説明会を適宜開催します。

4. 相談窓口の設置と運用

従業員が安心して制度を利用できるよう、気軽に相談できる窓口の設置は非常に重要です。匿名性や中立性を確保し、プライバシーに配慮した運用を心がけます。

  • 専門担当者の配置: 育児・介護休業制度に精通した人事担当者を配置し、従業員からの問い合わせや相談に対応します。必要に応じて、社会保険労務士などの外部専門家と連携することも有効です。
  • 相談しやすい環境づくり: 対面だけでなく、電話、メール、オンラインツールなど、複数の相談チャネルを用意します。匿名での相談が可能な仕組みを導入することで、従業員が本音を話しやすい環境を整えます。
  • ハラスメント対応体制の構築: 育児・介護ハラスメントに関する相談窓口を明確にし、迅速かつ公正な対応ができる体制を構築します。

5. 柔軟な働き方の推進

育児・介護と仕事の両立を実質的に支えるためには、休業制度だけでなく、日々の働き方の柔軟性を高めることが不可欠です。

  • 短時間勤務制度の拡充: 法定の短時間勤務制度に加え、対象期間の延長や、より柔軟な勤務時間設定(例:コアタイムなしフレックスタイム制)を導入します。
  • 在宅勤務・テレワーク制度の導入・拡大: 業務内容に応じて在宅勤務やテレワークを積極的に活用することで、通勤負担の軽減や、育児・介護の時間確保に繋がります。
  • フレックスタイム制度の導入: 始業・終業時刻を従業員自身が選択できるフレックスタイム制度は、通院や送迎など、日々の細かな時間調整に非常に有効です。
  • 時間単位有給休暇制度の導入: 従業員が時間単位で有給休暇を取得できるようにすることで、急な用事や短時間の離席にも対応しやすくなります。

柔軟な働き方の推進は、従業員のウェルビーイング向上にも寄与します。詳細は職場のウェルビーイング向上施策【測定・改善・定着の実践方法】をご参照ください。

6. 代替要員の確保と業務体制の見直し

従業員が安心して休業を取得し、復職後もスムーズに業務に戻れるよう、企業側が業務体制を整えることが重要です。

  • 業務の棚卸しと標準化: 属人化している業務を洗い出し、マニュアル化や複数担当制を導入することで、休業者が発生しても業務が滞らない体制を構築します。
  • ITツールの活用: コミュニケーションツール、プロジェクト管理ツール、情報共有システムなどを活用し、業務の効率化と情報共有の円滑化を図ります。
  • 休業者への情報提供: 休業期間中も、社内の重要な情報(人事制度変更、組織体制変更など)を適宜共有することで、復職への不安を軽減します。
  • 復職支援プログラム: 休業期間が長くなる場合、復職前に面談を実施し、業務のキャッチアップや慣らし勤務の機会を提供するなど、スムーズな職場復帰を支援します。

これらのステップを計画的に実行することで、企業は法改正に適切に対応し、従業員が安心して働き続けられる環境を構築することが可能になります。

先進企業の対応事例

育児・介護と仕事の両立支援において、先進的な取り組みを行う企業は、単なる法遵守を超え、独自の視点で従業員のニーズに応え、企業価値を高めています。ここでは、具体的な企業名を挙げずに、その取り組みのポイントを紹介します。

男性育児休業取得率100%を目指す企業

ある大手製造業では、男性従業員の育児休業取得を義務化に近い形で推奨しています。具体的には、子の出生後すぐに1ヶ月間の育児休業取得を「推奨」し、その間の給与を会社が全額補償する制度を導入。さらに、育休取得者には復職後も定期的な面談を実施し、キャリア形成への影響を最小限に抑えるサポートを行っています。結果として、男性育休取得率はほぼ100%を達成し、育児への参画を促すことで、女性従業員のキャリア継続にも大きく貢献しています。

介護離職ゼロを実現する包括的支援

あるITサービス企業では、介護離職ゼロを経営目標の一つに掲げ、多岐にわたる介護支援策を導入しています。法定の介護休業・休暇制度に加え、独自の「介護支援休暇」(有給、年10日まで)を設け、緊急時の対応を可能にしています。また、社内に介護専門の相談員を配置し、介護サービスの紹介や、介護保険制度に関する情報提供をワンストップで行っています。さらに、介護と仕事の両立に関するセミナーを定期的に開催し、従業員だけでなくその家族も参加できるようにすることで、介護への理解を深める文化を醸成しています。

柔軟な働き方を最大化する制度設計

あるベンチャー企業では、従業員のライフステージや業務内容に応じて、働き方を自由に選択できる制度を導入しています。フルリモート勤務、フレックスタイム制(コアタイムなし)、ワーケーション制度に加え、ベビーシッターや家事代行サービスの費用補助制度を設けることで、従業員の育児・介護負担を軽減しています。また、業務の評価制度も成果主義を徹底し、働く時間や場所に縛られない評価を実現。これにより、従業員の高いエンゲージメントと生産性を維持しながら、多様な人材が活躍できる環境を構築しています。

育児休業中のリスキリング支援

ある金融機関では、育児休業中の従業員が復職後もスムーズにキャリアアップできるよう、独自のリスキリング支援プログラムを提供しています。オンライン学習プラットフォームの利用料補助、資格取得奨励金、復職前研修のオンライン化など、育休中に自己研鑽を積める機会を提供。これにより、育休取得者のキャリアブランクへの不安を解消し、復職後のパフォーマンス向上にも繋がっています。

これらの事例からわかるように、先進企業は、単に法律を守るだけでなく、従業員一人ひとりの状況に寄り添い、企業文化として両立支援を根付かせることで、持続的な成長を実現しています。データに基づいたニーズ把握と、それに応じた柔軟な制度設計、そして経営層の強いコミットメントが成功の鍵を握っています。

今すぐ始めるべきアクション

育児・介護と仕事の両立支援制度への対応は待ったなしの課題です。法改正の動向を注視しつつ、現時点から具体的なアクションを開始することが、企業の競争力を維持・向上させる上で不可欠です。以下に、人事担当者・経営者が今すぐ着手すべきアクションをまとめました。

1. 現行制度の緊急点検と法改正情報の収集

まず、自社の就業規則や育児・介護休業規程が、2022年・2023年の法改正に対応できているかを緊急で確認してください。特に、産後パパ育休(出生時育児休業)や育児休業の分割取得に関する記述が適切か、1,001人以上の企業であれば男性育休取得状況の公表義務に対応できているかをチェックします。

同時に、厚生労働省や関連機関のウェブサイトを定期的に確認し、2025年以降の法改正に関する議論や動向、具体的な改正案の発表など、最新情報を継続的に収集する体制を構築することが重要です。

2. 社内ニーズの簡易調査と課題の特定

本格的な調査に入る前に、まずは簡易的なアンケートやヒアリングを従業員に対して実施し、育児・介護に関する具体的なニーズや、現行制度への不満・要望を把握します。「制度は知っているが利用しにくい」「どのような制度があるか分からない」「介護に関する情報が欲しい」といった声がないかを確認し、自社の課題を具体的に特定します。

3. 人事担当者・管理職への情報共有と意識啓発

法改正のポイントや、両立支援の重要性について、まず人事担当者間で情報共有を徹底します。その上で、管理職向けに、ハラスメント防止の観点を含めた制度の概要説明会や勉強会を企画し、意識啓発を図ることが重要です。管理職が制度を正しく理解し、部下を支援する姿勢を持つことが、制度の実効性を高める第一歩となります。

4. 経営層への現状報告と戦略的投資としての提案

現状の制度対応状況、従業員のニーズ、そして対応を怠った場合のリスクをデータに基づいて経営層に報告します。その上で、両立支援は単なるコストではなく、人材定着、企業イメージ向上、生産性向上といった観点から、企業の持続的成長に不可欠な「戦略的投資」であるという視点で提案を行います。経営層の理解とコミットメントを得ることが、取り組みを推進する上で最も重要です。

5. 外部専門家への相談検討

自社内での対応が難しい場合や、より専門的なアドバイスが必要な場合は、社会保険労務士などの外部専門家への相談を検討します。法改正対応における就業規則の改定支援や、両立支援制度の設計、従業員への説明会講師など、多岐にわたるサポートを受けることが可能です。

これらのアクションは、企業の規模や業種に関わらず、今すぐにでも着手できるものです。小さな一歩からでも、着実に両立支援体制の強化を進めることで、従業員が安心して長く働ける、魅力的な企業へと進化することができるでしょう。

よくある質問

Q. 育児休業の法改正で特に注意すべき点は何ですか?

A. 特に2022年10月施行の「産後パパ育休」創設と育児休業の分割取得、2023年4月施行の「育児休業取得状況の公表義務」(従業員1,001人以上)には注意が必要です。これらに対応する就業規則の改定と社内周知が不可欠です。

Q. 介護と仕事の両立支援で企業が具体的にできることは?

A. 法定制度に加え、時間単位での介護休暇導入、介護相談窓口の設置、社内勉強会の開催、在宅勤務や時短勤務の柔軟な適用などが有効です。従業員ニーズの把握が重要となります。

Q. 男性育休取得を促進するために効果的な施策はありますか?

A. 経営層からのメッセージ発信、管理職研修での意識改革、育児休業中の給与補償(法定給付以上)、取得事例の積極的な紹介、取得後のキャリア支援などが効果的です。取得しやすい職場文化の醸成が鍵です。

Q. 就業規則の改定以外に、法改正対応で重要なことは何ですか?

A. 制度の社内周知徹底、管理職への教育、相談窓口の設置と運用、代替要員確保や業務体制の見直し、そして柔軟な働き方制度の拡充が重要です。制度を「使える」環境づくりが不可欠です。

Q. 両立支援制度を導入する際の経営層への説得材料は何ですか?

A. 人材定着による離職コスト削減、採用競争力向上、従業員エンゲージメント・生産性向上、企業イメージ向上といった経営上のメリットをデータに基づき提示します。法的リスク回避も重要な要素です。

まとめ

育児・介護と仕事の両立支援は、単なる法令遵守の義務を超え、現代企業にとって不可欠な経営戦略です。少子高齢化が進み、労働人口が減少する中で、多様な人材がそれぞれのライフステージに合わせて能力を発揮できる環境を整備することは、企業の持続的な成長と競争力強化に直結します。2026年を見据えた法改正の動向を注視し、就業規則の改定はもちろんのこと、従業員ニーズに即した柔軟な制度設計、管理職の意識改革、そして安心して利用できる文化の醸成が求められます。

本記事で解説した具体的なステップと先進企業の事例を参考に、貴社も今すぐアクションを開始し、従業員が安心して働き続けられる、魅力的な組織づくりを目指してください。両立支援への積極的な投資は、必ずや企業価値の向上という形で還元されることでしょう。

育児・介護と仕事の両立支援は、今や企業の成長戦略に不可欠です。

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